今回の記事のテーマは、「スキー場のパトロールのお仕事」について。
スキー場のパトロールは誰でもできるお仕事ではありません。
時には遭難した人の救助をしたりなどハードな一面もあるお仕事。
スキーが好きな人にとっては非常にいい面もあります。
それは、日常的に滑ること。実質滑ることが仕事ということですね。
今回は、スキー場で3ヶ月働いた経験のある藤本さんに、スキー場のパトロールのお仕事についての記事を書いていただきました。
>>この記事を書いた藤本さんのリゾートバイト体験談はこちら!
スキー場のパトロールって、どんな仕事内容?
ゲレンデ内で危険な箇所や事故が無いかを監視するのが主な仕事
パトロールの仕事内容は、ざっくりとゲレンデ内で危険な箇所や事故が無いか監視することです。
営業時間内だけでなく営業時間外にもゲレンデを実際に滑走し、安全確認を行うんですね。
主に見回りするポイントは
・ 危険箇所を(コース外などの立ち入り禁止エリア)滑走している人がいないかどうか?
・ ゲレンデ内で事故(一番多い事故が接触事故)が起きていないか?
の2点。
遭難者の救助も仕事の1つ
悪天候時にはゲレンデ内と言えど、遭難者が出る事がありますよね?この時にレスキューを担当するのもパトロールの仕事になります。
視界が悪くなりコースを見失う。新雪に足を取られて動けなくなり低体温症を起こして緊急搬送…など、数は多くありませんが、実際に起きています。
遭難とまではいかなくても「広いゲレンデで道に迷ってしまい、視界も悪く動けない」という連絡が入った時には、現地まで迎えに行く事で遭難事故を未然に防ぎます。
スキー場とは言え、そこは雪山。天候が急変する事は日常的にあり、吹雪になれば慣れている人でも遭難する事もあります。
重大な事故の場合は、警察や山岳救助隊が出動。
パトロールは支援活動に回ります。
雪崩を未然に防ぐための作業
雪崩が起きやすい斜面では弱層テスト(雪崩が起きる危険性を判断するテスト)を行います。
そして、危険と判断した場合には爆薬を使って人為的に雪崩を誘発させるんですよ。
こうする事で営業時間内に雪崩事故が起きないようにさせるんですね。
事故発生時は早急な対応が必要な仕事
通常時は異常が無いことを確認しながら滑っていれば良いポジションです。
しかし、事故発生時には一番に現場に駆けつけて対応をしなければなりません。
マナー違反者には注意を促す
また、事故を未然に防ぐ意味でも、マナー違反をしている滑走者には注意を促す必要があります。
楽しい気持ちが気分を大きくさせるため「調子に乗っちゃう」人は少なくありません。
威圧的な態度はクレームに繋がりますので、相手の気分を害さずに上手にたしなめるのもパトロールの腕の見せ所です。
最前線に立って事故を未然に防ぎ、お客様の安全を守るのがパトロールの仕事です。「命を守る仕事」と言っても大げさではないでしょう。
パトロールに向いている人と必要な資格
スキー検定の資格は必須
まず、初心者向きの仕事ではありません。
業務内で滑走をする事が必須になるので、スキー検定の資格は必須です。
スキー場によっては同等程度の技術があれば無資格でも勤務可能ですが、書類選考の段階で除外される事が多いです。
仮に書類選考で受かったとしても、勤務開始前の技術試験は受ける事になります。
人命を預かる場面があるので、救急救命講習の有資格者は優遇されます。
基本的なロープワークも必要になりますが、もしできなくても勤務中に講習を受けることになります。
スノーモービルやトラックなどの運転をする場面もあるので、運転系の免許を持っているとさらに強みになります。
他の職種に比べ厳しい職場環境になりますので、基礎体力は必須です。
休憩時間があるとは言え、ほぼ毎日滑らなくてはいけない事を考えると、1〜2日滑ったぐらいで動けなくなるようでは務まりません。
併せて、責任感や冷静な判断力、チームワークを乱さない協調性などの面でも高い素質が要求されます。
パトロールのスタッフは滑る機会が多いのか?
そもそも、滑れなければ仕事にならないポジションです。
スキー場スタッフの中では、スキースクールのインストラクターと同等(もしくはそれ以上)に滑る事ができます。
日常業務はもちろんですが、パトロールにはオープン前のコースを滑る「試走」や、「危険地域確認」というゲレンデ外の未圧雪エリアの滑走をする業務があります。
これはパトロールの特権と言っても良いでしょう。
会社によっては定期的にトレーニングを行なっている所もあり、滑る事に関しては、かなり優遇されています。
もちろん、休みの日はリフト券を借りて一日中自由に滑る事ができます。
中には、滞在日数=滑走日数という人もいますよ!
パトロールとして働くメリット
日常的に滑ることができる
一番のメリットはやはり日常的に滑る事ができる点でしょう。
業務時間内は制服を着ているので制限はありますが(制服着用での自由滑走は禁止事項)それでも、他の部署に比べれば滑走する時間に大きな差があります。
給与や福利厚生に関しては他のスタッフと同様ですが、営業時間に加えて前後の作業時間がある分、拘束時間も長いので同じ時給でも支給額に差が出ます。
勤務先によっては資格手当や危険手当などが支給される場合もあるので、収入面でも有利だと言えるでしょう。
ゲレンデの地理・地形に詳しくなれる
日常業務でパトロールをしているため、ゲレンデ内の「おいしいポイント」に熟知しているのもパトロールスタッフに多いです。
そのため、新雪が溜まりやすい位置やナチュラルキッカー(自然地形を利用したジャンプできるポイント。コース内にキッカーを作ることは安全確保のため原則禁止なので、ナチュラルキッカーは貴重な存在)の位置。
ロケーションが良いポイントと特に景色が映える時間帯…など、地元民かそれ以上に詳しくなれます。
定期的なトレーニングは滑走技術だけでなく、救急救命をはじめとした安全面でのスキルアップにも繋がります。
パトロール隊の責任者は勤続年数の長い、地元のベテランスタッフが就く事が多いです。そのため、常に上級者の滑りを見ることもできるのも他のスタッフにはメリットです。
1シーズンパトロールとして勤務する事で、技術だけでなく知識も豊富になり、飛躍的にレベルアップするでしょう。
参考:女性からモテる
蛇足ですが、結構モテるポジションなのもパトロールスタッフ。
シーズン中にお客様から逆ナンされた話も珍しくありません。
やはり、スキー場は上手に滑る事が出来るとそれだけでかっこよく見えます。
さらに頼りになる存在となれば、こっそり連絡先を渡されても不思議はありません。